おばあちゃんのひとりごと

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「レクイエムになるような、静かなバラードはいっぱいあるよ、人間って奴はね。いくつもの顔をもっているものなんだよ」

 忘却は黒いページで、この上に記憶は輝く文字を記し、そして
 読みやすくする、もし悉く光明であったら、何も読めやしない。
                カーライル
 
 どうにもならぬことは忘れることが幸福だ。というのはドイツの諺だそうで
すが、そうですよね。老いるごとに、むかしむかしは忘れます。思い出すのは
笑えるけれどもおさなの頃の想いで……ほのぼの……しますが。
 いろんな苦もすべては自分のためで、”善き哉” よいことだけを記憶よね。
 さあ、昨日は久しぶりに、いつもの喫茶店に行きましたら、ね。若ものが、
「おかあさん、いらっしゃい……」と明るい笑顔でね。そして、お仲間さんが
全員揃いました。にぎやかい。にぎやかい。たのしい。たのしい。それから、
私は、友人にランチに誘われていたので、バスで出掛けました。その人はとて
も裕福なんですが、うどんがいいと言うのでね。天ぷらとうどんでね、店員さ
んが間違えたのかしらん?だって、240円だったんです。心配になっちゃう
わぁ?……。信じられないよね。イカのてんぷらを一つとうどん(小)?よ。
 安くて、美味しくて、とても、嬉しかったけれどね。
 食べて、ちょうどバスが来たから、友人はご自分の弟と会うみたいなので。
私は慌て、バスに、友人はどうかなぁ?いくらだったかしら?まあいいか?
 ああ ああ 面白い一日。野菜が安くて買い、ご近所にも差しあげました。


    今を生きる

     咲くも無心
     散るも無心
     花は嘆かず
     今を生きる
         坂村真民


  ☆☆友らとの関係☆☆

  よく 考えるのです
  この友と 
  あの友と
  近くの友と
  遠くの友と
  その友と
  なんだか
  いろんな関係の友

  おかしいのだけれども
  それぞれが ちがう
  私自身がね
  そうやって 
  不思議なんだよね
  あなたにとっての
  私がいて
  いろんな姿
  
  そう考えると
  不思議 不思議
  でも 誰もが 
  そうじゃアないかしらん
  そうやってね
  私が育っていくのですね
  そうやって
  人生が過ぎゆくのかも

  なんでもいいから
  穏やかにいきたいなあー

-----------------------------------------------------------------------
  あきらめない
           蒲田實 著

                         ◇命が透けて見える
 一週間後、長野市で全国の自治体病院学会が、四千人の参加で開かれた。ぼくは
ある分科会をまかされていた。えい、やっちゃえ。「坂田明、小室等、蒲田實、命、
自然、人生、涙、音楽を語る―――全人的医療をめざして、感性の磨き方教えます
―――」なんちゃって、これ医学会でやってしまった。受けた。
 日本のモダンジャズ界を引っぱってきた坂田明は、ハナモゲラ語の天才だけでな
く、ミジンコの研究家だったのだ。「ミジンコと暮らすと、生命のことが透けて見
えてくる」この講演は圧巻だった。ミジンコの出産、これが感動的。手に汗を握り
「がんばれ」なんて声を、かけたくなって、無事、出産がおこなわれたときは、会
場から拍手がわいた。

「人間が生きていけるのは、他の生きものたちのおかげ。人間は他の命を食べて生
きている。最近、この仕組みが見えなくなりだしている。だから、死んでくれる命
に心が痛まないのです」
 
 「生きているということはどういうことなのか。命の仕組みと姿を、たった三週
間しか生きられないミジンコが見せてくれる。光にかざすと体のなかがすべて透け
て見える。感動だよ」
 ミジンコが実に哲学的だった。生命の神秘を語っているようで。
 坂田さんと、お会いして、すぐ思った。名古屋で、笑う哲学者に会ったときと同
じだ。似ている。何でだろう。彼も同じことを思ったようだ。ボーッとしたところ
が似ている。
 
 「私はミジンコの研究家ではありません。眺めるのが好きなだけです。興味があ
るのは、命とは何か、自分とはなんなのかです」
 
 わぁーっかっこいい。正直、すごいと思った、実は彼はサックスを持った哲学者
だったことに初めて気がついた。
 ぼくは、つい、調子にのって、年長の坂田さんに、「顔に似合わず哲学的ですね」
と、ミジンコの話に感動したことを伝えた。
 命とは何かを考えさせる哲学的な講演に、心が揺さぶられたことを、主催者側の
ひとりとしてお礼を述べたかっただけなのに、舞台の上で。
 いかん、心の中であわてたが、後の祭りだった。ぼくはいつも、こうやって思っ
たことをしゃべってしまう。それにしても「顔に似合わず」は余計だったと反省し
ている。ぼくは坂田さんに風貌が似ているという。ぼくの勝手な思い込みがあって、
ぼくも坂田さんと同じように、哲学的な顔はしていません。という意味を含んでい
たのだが。
 会場にドヨメキがおきた。受けている。坂田さんが笑っている。人格者の小室等
さんが、「困った奴だ。日本を代表するジャズミュージシャンになんてことをいう
んだ」っていう顔をしながら笑った。
 ギリギリ許されたのか、安堵感が広がった。

                    ◇自分が死ぬときに聴きたい音楽
 気をつかって、小室さんが、死ぬときはどんな音楽を聴きたいかと、唐突に話題
を変えた。
 ぼくは答えた。
 「小室さんの「雨のベルラ―シ」がいいなあ」
 ヨイショしたわけではなかった。すーと自然に出た言葉だった。
 静かないい曲だ。「時間のパスポート」というCDに入っている。鎮魂曲になる
と思った。チェルノブイリに小室さんといっしょに旅をしたときにできた、思い出
深い作品だ。調子にのって付け加えた。

「坂田さんの音楽は死ぬときは似合わないよね」

 会場の空気が凍った。まずい。いかん。失言の連続で再び失点。持ち点ゼロ。退
場命令が出ると思った。小室さんの顔を見る。目が怒っている。
 「うーん。まずい。ドクターカマタ。初対面だぞ。ぼくがお願いして、出演して
もらったのに……」
 あわててぼくは坂田さんの顔をチラッとのぞいた。サックスを持つ哲学者がぼく
に似た顔で笑っている。しようがない奴だ、とあきらめてくれたみたいだ。やさし
いあたたかな声だった。
 
 「レクイエムになるような、静かなバラードはいっぱいあるよ。人間って奴はね。
いくつもの顔をもっているものなんだよ」
 笑うミュージシャンは、サックスを手に取った。サックスが鳴りだす。世界が変
わった。
    ――省略―――

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 むかし むかしですが、なにかの機会の会場でですが……。
 小室等さまにお会いし、握手させていただきました。
 サインもいただき、いまも、思い出します。素晴らしく魅力的な方でした。
 温かいのです。ハートの温さが伝わってきました。この本を読みながら……。
思いだしていました。でも、そのサインも長い人生の間に失くしてしまいましたが。
あの温かい笑顔とお人柄は、そのまま感触が残っているから不思議です。

 短歌

  友と会いすぐバスの来て慌て乗る窓から手を振る夏の夕ぐれ

 俳句

  なすを買う安いと飛び付きご近所に

 川柳

  夏野菜おばかなわたしは安いぞと
 
 
 
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Author:フェアリーグランマ
ひとり暮らしのおばあちゃんですが、毎日を詩や短歌を作って楽しんで暮らしています。

心に残った本の一節を御紹介させて頂いております。

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