おばあちゃんのひとりごと

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戦争のなかの小さくはない。おおきなできごと

  「到知」2007・3より

  「足なし禅師」呼ばれた禅僧がいた。
  小沢道雄師、大正9年生まれ。幼年期、曹洞宗の専門道場で修業。
 二十歳で招集を受け満州へ、25歳で敗戦、シベリアに抑留され強制
 労働。だが肩に受けた銃創が悪化し、役立たずに不要とばかり無蓋
 の貨車で牡丹江の旧日本陸軍病院に後送される。
ーーーーー一部省略ーーーーー 
 両足が凍傷に冒された。
  膝から切断しなければ助からない。その手術の担当軍医は内科医で外科
 手術はそれが初めて、麻酔薬。メスを執った軍医がしばらく祈るように目
 を閉じた姿を見て、小沢師はこの軍医に切られるなら本望だと思い定めた。

  想像を絶する激痛、歯がギリギリ噛み合い、全身がギシッと軋んで硬直
 した。すさまじい痛みは1ヵ月余続いた。

  突然帰国命令。歩けない者は担架に担がれーーー省略ーーー

  だが出発して3日目の朝、目を覚ますと周りに誰もいなかった。満州の
 荒野に置き去りにされたのだ。あらん限りの大声で叫んだ。
  折よく通りかかった北満からの引き揚げ途中の開拓団に救われたのは、
 僥倖というほかはなかった。
 (僥倖ーー偶然の幸福・こぼれざいわい)

 崖っぷちを辿るようにして奇跡的に帰国した小沢師は。福岡で再手術を
 受け、故郷相模原の病院に送られた。母と弟が面会に来た。

「こんな体になって帰ってきました。いっそのこと死のうと思いましたが、
帰って来ました」

 言うと、母は膝までの包帯に包まれた脚を撫で、小さく言った。
「よう帰ってきたなあ」
  母と弟とが帰ったあと、小沢師は毛布をかぶり、声を殺して泣いた。

 懊悩の日は続いた。気持ちはつい死に傾く。その果てに湧きあがってきた
 思いがあった。

 比べるからから苦しむんだ。比べる元は27年前に生まれたことにある。
 27年前生まれたことを止めて、今日生まれたことにしよう。両足切断の姿
 で今日生まれたのだ。そうだ、本日たったいま誕生したのだ。足がどんなに
 痛く、足が無く動けなくとも、痛いまんま、足がないまんま、動けないまんま
、うまれてきたのだから、何も言うことなし。本日ただいま誕生!

 深い 深い覚悟である。

一、微笑みを絶やさない       一、人の話を素直に聞こう

一、親切にしよう           一、絶対に怒らない

 小沢師はこの4つを心に決め58年の生涯を貫いた。命の炎を燃やして生き抜いた
足なし禅師の人生だった。ーーー省略ーーーー
………
 なにも言えないままに、只ただ涙のわたしです。本当に知らないだけ………
 この世の中、どんななかも、耐えられないようななか、立派な方々がしっかりと生き
ぬいておられます。しっかりと自分でがんばらないとね。さあーファィティン!
 
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Author:フェアリーグランマ
ひとり暮らしのおばあちゃんですが、毎日を詩や短歌を作って楽しんで暮らしています。

心に残った本の一節を御紹介させて頂いております。

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