おばあちゃんのひとりごと

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「退」には人間の出来、不出来がハッキリでる。

「帝王学ノート」伊藤肇著より

ーー東洋人物学のうち「出処進退」

「東洋人物学では、「出処進退」と「応対辞令」とが、人物を見る二つの柱となっている。と
安岡先生から教わった。
 「出処進退」では、特に「退」が重視される。「退」には、ごまかしのない人間がそのまま
でるからである。女々しい奴は、いつまでもポストに恋々とするし、智慧があって、男らしい
奴は最盛期にさらりと退く。

 経団連名誉会長だった石坂泰三さんが「采根譚」の(訳のみ)ー「隠居するなら惜しまれるうち
に。隠居の身を置くなら、他人の邪魔にならぬところに」を座右とし、「財界鞍馬天狗」の異
名を奉られる中山素平さんが「責任者は、「出処進退に特に厳しさを要する。というよりも、
出処進退に特に厳しさを存するほどの人が責任者になるべきだ」といいきっているのも。こ
の間の事情をさしている。
 「退」に人間の出来、不出来がハッキリとでるのは、二つの作業をやらねばならぬからだ。

 第一は「よき後継者を選ぶ」作業である。
これがなかなか難しい。つまり、企業において、自分がいなくても、仕事がまわっていくよう
にすることであり、己を無にする作業である。

 ある一流企業の常務が、

「社長が後継者を選ぶ第一の基準は、どうやって自分の権力が温存できるか、ということだ。
 有能で、実力があり、まごまごすると、自分を棚上げしかねない副社長を選ぶことはまずな
い。自分が会長や相談役になっても、もと社長として、精神的にも、物質的にも、遇してくれ
る人物を選ぶのがほとんどだ」
 と溜息をついていたが、たしかに一面の事情を伝えている。

 第二は、「仕事に対する執着を断ち切る」作業である。
 仕事を離れてみて、仕事が自分の人生にどんなウエイトをもっていたかがよくわかる。
 昨日まで、自分の生活のの基礎をなしていた職場への愛着、そして、仕事にまつわる苦心談
や滑稽な思い出がしきりと胸中に去来する。いかにも沢山の仕事をしてきたかのようにみえて
も、それがそのまま、自分の生きたあかしとはなりえないことに気がつく。揚句のはては、自
分ひとりだけがとり残されたような、穴の底深く落ち込んでしまったような空爆感にさいなま
れる。

 それを克服する作業は、口でいうほど、生やさしくない。
 
故人 坂本勝(兵庫県知事)さんが、辞するときの台詞は、未だに語り草となっている。

「すべての仕事というものは、はじめなく、終わりなきものだ。
 種まくもの、咲きでる花を賞でるもの、結実を祝うもの、みなそれぞれのめぐりあわせという
ものだ。
 自分の播いた種が稔るのをみたいのは人情だけれども、それはいわば小乗論である。
 中国の詩人、謝眺の歌うらく、
    大江 日夜流ル
    客心 悲シミ未ダ尽キズ
 歴史の大江に、かげろうの身を浮かべる人の身の限界を粛として知るべし」

 この「己を無にすること」と「仕事への執着を断ち切る作業」をした上ださらに出処進退
の大原則である。「進むときは人まかせ、退くは自ら決せよ」を実践するのである。

 せっかく困難な二つの作業をやっておきながら、「退」を人に相談したら、それは茶番劇
となる。
 
 誰が、相談を受けて「いい時期だから、おやめなさい」という奴がいるものか、
 「まだまだ、おやめになるは早いですよ」と、止めるにきまっている。
 それをいいことに居座ったら、老醜をさらすことになる。
 
 いうなれば「退」は徹頭徹尾、自らを見つめ、自らを掘り下げて行動しなければならぬか
ら、自然に日ごろの心栄えが一挙手一投足に反映する。だから、、そこのところを凝視してお
れば、ホンモノか、ニセモノかがよくわかる、という寸法である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 会社も家庭も、どんなことにもいえる。と思う。家庭でも、いつまでも、自分が自分がと。
思いがちなんだけれども、自分の年を考えたら。子どもらにすべて宜しくお願いします、と。
 若い人たちに、家を、家庭を守ってね。と、お願いすることが、いいのではないかなあーー。
 後継者つくりは、いろんな会、家庭においても、あらゆる世界にもあることかなあーー
と思うのです。「退」という言葉を考えてみるのも、老いの生活のなかではたいせつなことかも
であり、老いるごとに、ゆったりとゆっくりと穏やかな心で、若い家族たちを見守り楽しみ、安
心して自分の生活を、ひとりで楽しんでだいじにしていきたいものです。

 
   生ぜしもひとりなり、死するもひとりなり
   されば、人と共に住するもひとりなり。
             一遍「一遍上人語録」


   一日生きることは、一歩進むことでありたい。
                   湯川秀樹


   ポストは人を育ててくれる。ありがたいことだ
   が、人はまたポストにお辞儀をするこわい面が
   ある。
                   石井菜穂子  
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Comment

全くです。

社長でなくても、男は引き際が肝心です。
全く、往生際が悪い男が多いんです。
言い訳ばかりする奴、自己弁護ばかりする奴、
愚図愚図と先伸ばしにしようとする奴等々。
とにかく「男のくせに!」と怒鳴りつけたくなるのが多い。
あ、基本的には、「男のくせに」だの「女のくせに」だの言うのは嫌いです。
それなのに、「男のくせに!」と言いたくなるんだから、
どれだけ情けないか解ると思います。

「ポスト」というものに縁がないので、
最初「郵便ポスト」かと思ってしまい、
「あのポストにお辞儀するの?」と想像してしまいました(^^;
人って、自分に馴染みのある物を、咄嗟に思い浮かべるんですね☆
  • posted by 夢桜
  • URL
  • 2014.04/21 20:39分
  • [Edit]

Re: 全くです。

 こんばんわ。楽しいね。愉快になるわ。ありがとう。
 今日は、ボンヤリなことしてて、あーあ……。ため息よ。

 ため息より笑えるかあーー?暢気にわらっていこうーーートほほ。
 安い傘でも、忘れたことが、なんかね。嫌で、探しちゃったわ。
 アッハ アッハ。

 ポストね。わかる。わかるよ。はじめ思うよね。
 黄門様のような、いんろう があつたらね。「へぇー」ってね。
 

  • posted by フェアリーグランマ
  • URL
  • 2014.04/21 20:59分
  • [Edit]

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Author:フェアリーグランマ
ひとり暮らしのおばあちゃんですが、毎日を詩や短歌を作って楽しんで暮らしています。

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