おばあちゃんのひとりごと

Entries

心の奥底での「神と悪魔との戦い」

「帝王学」伊藤肇著より

 -瀬島龍三の祈りー
 風雪に耐えたからといって、よくなる人間ばかりとは限らない。
 「貧すれば、貪する」の諺もあるように、風雪に耐えたばかりにかえって悪くなる
人間も多い。同じ苦労をするとしても、よく身につくのと悪く身につくのとでは雲泥
の差である。

 伊藤忠商事の瀬島龍三会長は、敗戦の直前、第本営参謀として満州へ飛び、聖断を
伝えて帰国しようと新京飛行場へかけつけたとき、一人の負傷した将校にでくわした。
見捨てて帰っても、別にどうということはない。しかし、瀬島さんは、日本へ帰る最終
便の飛行機の座を、この将校に譲った。
 これは命の順位を譲ることであった。瀬島さんは、そのまま、ソ連に抑留されて12年
人間として見てはならないもの見、してはならなぬこともやらねば生きて行けない地獄
の生活を経験した。ときには自殺を思った。だが旧大本営参謀という立場は、自分さえ
死ねば、それで万事解決がつくというものではなかった。瀬島さんが命を断つことによ
って、間違いなく、次の誰かが、同じ苦しい立場に立たされるのだ。
 そんな地獄のドン底の瀬島さんを支えたのは、関東軍司令部から拘引されるとき、た
またま書棚にあつったものをもってきた「レ・ミゼラブル」だった。

 主人公のジャン・バルジャンは、一片のパンを盗んだために十九年の牢獄生活を送らね
ばならなかった。十九年の屈辱と労役で得たものは、社会に対する怨怨だけだったが、出
獄して、最初に会ったミリエル司教が、ジャン・バルジャンの心を大きくゆさぶり、その
日から心の奥底で、神と悪魔との戦いがはじまった。そして、人生は醜悪や虚無だけでは
ないという事実を神との対決において証明していく。


 ただ、ひたすらに観音経に没入することによって、<自分には観音様がついておられる
のだ>という確信が、春の潮の如く高まってくる。
 そのとき明らかに母の声が聞こえた。
 「世の中が暗黒になることがあります。ちょうど、今のお前のようにです。でも、暗黒
のなかでじっと見つめていますと、かすかですが、一点の光明があることがわかります。
その時は、ただ、まっしぐらに、その光明に向かって突進するのですよ。だんだん、光明
が大きくなりますし、希望がもてるようになります」
 その通りだった。
続経三昧と光明凝視のうちに、ドン底であるべき八ヶ月が何ということもなく過ぎてしま
った。
 人間、瀬島龍三の魅力をつくりあげたのは、実に、この逆境のにおける「一冊の本」と
「観音経」であった。

00000000000000000000000000000000000000000000000000000
「幸せは急がないで」青山俊薫・瀬戸内寂聴 遍より

 --大阪の刑務所に収容されていたある死刑囚の遺句に

       この体 鬼と仏と
       あい住める
  
      というのがあるそうです。
 状況と条件次第では、強盗でも殺人でもしかねない。その同じ人が、また事と次第では
仏さまも顔負けするほどの善行をやってのける。その両方の、いや、あらゆる可能性を秘
めているのが、人間というもののようです。

 そこのところを浄土真宗の開祖親鸞聖人は

    さるべき業縁のもよおさば いかなるふるまいをもすべし

00000000000000000000000000000000000000000000000000000


  いろいろなるニュースを目にしつつ、思い、考えさせられます。
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

フェアリーグランマ

Author:フェアリーグランマ
ひとり暮らしのおばあちゃんですが、毎日を詩や短歌を作って楽しんで暮らしています。

心に残った本の一節を御紹介させて頂いております。

ランキング

ブログ村のランキングに参加しています。応援してくれたら元気が出ます!
にほんブログ村 ポエムブログ 自作詩・自作ポエムへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村 にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

flag counter

Flag Counter

最新記事

最新トラックバック

音楽