おばあちゃんのひとりごと

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検察だけは、政治家や権力者に迎合しない

「好き嫌いで決めろ」河上和雄著より

 ……ある法務大臣は……
 検事は検察庁ばかりでなく法務省の事務次官、局長といった幹部職について行政
事務も担当します。私自身も法務省の会計課長や矯正局長をした経験があります。
 ところうで検事というと、ときの権力に迎合などしない剛毅の士ばかりという思い込
みがあるでしょうが、世の中はそう単純なものではないようです。
 ちょうど私が会計課長をしていたとき、法務大臣が代わったことがあります。世間的
には評判のよい人でした。その大臣の意を受けたという法務省詰めのある新聞記者が
私のところに来て、「会計課長、大臣が怒っていたぞ」と言うのです。何を怒っているの
か聞いたところ、彼曰く、「この役所は大臣の昼食代や部屋に飾る花の代金まで請求
してくる。会計課長はいったい何をしているのだと言っている」。
 この言葉を聞いて耳を疑いましたね。その記者が大臣とねんごろの仲で大臣室に入
り浸っていること、来たばかりの記者ということを知っていましたから、私は「おい、そ
の馬鹿大臣に言っておけ。法務大臣は国から大臣としての給でているんだ。役所
の金をそんなものにビタ一文出せるはずはないだろう。文句があるなら直接大臣が俺
のところに頼みに来い。そうすれば説明してやる」と、追い返しました。まったく非常識
な話です。その後はさすがに何も言ってきませんでしたがね。
 また、その後この大臣はヨーロッパ視察に行きたいと言いだしたことがあります。当時
法務省は刑法改正作業を進めており、その改正案が提唱していた精神障害者に対する
治療処分の関係で視察したいと言うのです。ヨーロッパの精神障害者対策の現状につい
てはすでに十分研究済みでしたし、一年やそこらで首の飛ぶ大臣がそんなものを視察し
ても意味がないのです。ですから、次官以下事務方は皆、とんでもない話だと陰で反対
していました。
 しかし、この海外主張を決めるための省議が開かれると、次官が「すばらしいことです
ね。ぜひ奥さまもご一緒に」と言いだした。法務省の他の局長連中も賛成する。呆れ返り
ました。私はそれに対する反発もあって、「大臣が奥さまとヨーロッパに二週間行くお金で
10人の若い検事が海外で勉強する機会が失われるのですよ。法務省は海外出張旅費
がほとんどないのです。行くのは止めてくだい」、とやったのです。でも、結局、まあまあと
いうことで出張は決まってしまいました。
 この大臣は女房を連れて公費でヨーロッパへ行きたかっただけなんですね。そんな男
に検事でもある法務省の官僚が、内心は馬鹿にしていても「長いものには巻かれろ」と
言わんばかりに媚を売ってなびくわけです。若い検事が海外に行けば分厚い報告書を
きちんと提出するのに、大臣が行っても国益には何にも反映されないにもかかわらずで
す。
 それから2・3週間してのことです。この次官がある立食パーティで「河上の馬鹿があん
なことを言いやがって」と隣の人物に話しているのを偶然聞きました。がっかりしました。
手堅い人でしたし人間的には悪い人ではありませんでしたから、それなりに尊敬していま
したからね。
 よく若い検事から相談されるのですが、突然出世街道の乗り始めた目上の検事が、「所
詮、世の中はこれですよ」などと胡麻をする手つきをするのだそうです。若い検事たちでは、
検察庁だけは、正義を追求できる場所と思って日夜仕事に取り組んでいるのに、これでは
がっくりきますよね。捜査をして悪を追い詰める検察だけは、政治家や権力者に迎合しない
ような人間を上に置く組織にしなくてはならないと思います。
 検事も人の子ですから立身出世主義の人もいれば、事無かれ主義の人もいる。上にへつ
らい下に威張る人も多い。だけれどもそんな人ばかりではない。私が青臭かったのかもしれ
ないですが、当時言いたいことを上司に言えたと言うのは、それなりに自由な雰囲気が残っ
ていたということでしっょうか。
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 今日は雨がよく降りその中、街の交差点で、私の目の前で老婦人がバタリと転び、ビックリ
しました。赤に変わりそうで、慌てられたようで、滑った感じでした。
 「大丈夫ですか」と声をかけましたら、「大丈夫です」としっかりと、言われ起き上がられました。
 いいかな?(信号が赤になるところ……)腕時計が、二つに壊れたようでした。
 多くの人が通るスクランブル交差点のことでした。一瞬のことでなんにもできないものです。
 目の前で起きて、気を引き締められました。年を重ねると咄嗟のことが、微妙に身動きできない
もので、手助けしてあげられなくて、自分がいやになりました。

  河上和夫雄様のこの本、とても、いいものでだした。面白いです。
  嫌いなタイプの人間は何といっても威張る人間です。役職をかさにきて無理な要求を
したり部下に過酷な労働をさせるといった人です……なんか、とっても、潔いですよね。
 この話も、へェーいろいろあるんだなー?ってね。
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Author:フェアリーグランマ
ひとり暮らしのおばあちゃんですが、毎日を詩や短歌を作って楽しんで暮らしています。

心に残った本の一節を御紹介させて頂いております。

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